研究者・大学

金原 由紀子
かねはら ゆきこ

(教授)

尚美学園大学 総合政策学部 総合政策学科

プロフィール

中学2年生の時に辻邦生の長編小説『春の戴冠』を読んで、イタリア美術に興味をもつようになりました。この小説は、フィレンツェ・ルネサンスを代表する画家ボッティチェッリの生涯を幼なじみの視点で語るものです。20歳で初めて古都フィレンツェを訪れて以来、美術はもちろんのこと、その歴史、都市と街並み、文化に魅了され、何度も足を運んでいます。
普段は、なるべく多くの美術館や展覧会を鑑賞するようにしています。ゼミの学生と一緒に行くこともあります。インターネットで美術の画像を見て知った気になるのではなく、実物を見る経験を大切にしています。

出身都道府県 東京都
出身校 【中学】桜蔭中学校
    【高校】桜蔭高等学校
    【大学】お茶の水女子大学

研究内容

専門分野は西洋美術史で、特に14~15世紀イタリアのキリスト教美術に関心があります。中世末期から初期ルネサンスの中部イタリアには、フィレンツェやシエナなど共和制の都市国家(君主がいない国)がいくつも存在しました。こうした都市国家では統治権は神に由来すると考えられ、自分たちの都市の象徴的な代表者である「守護聖人」への信仰が盛んでした(フィレンツェの洗礼者ヨハネ、シエナの聖母マリアなど)。各都市では、自分たちの守護聖人の祝日にはお祭りや儀式やパレードを行い、広場では大きなマーケットを開きました。守護聖人は、単にキリスト教的な意味を持っただけではありません。多くの市民が参加して共同体の団結を高め、都市の外から客を呼び込んで経済効果をもたらすイベントを開催する理由にもなったのです。こうした守護聖人がどのように信仰され、都市の歴史の文脈に織り込まれ、彫刻や絵画などの美術に表現されたのかを研究しています。これは600年前以上前のイタリアの話ですが、現代の日本の町おこしとの共通点がたくさんあります。歴史を学ぶことは、今を考えるヒントになるのです。

経歴

1992年04月-1993年03月・東京工業大学工学部人文社会群・教務補佐員
1993年04月-1999年03月・お茶の水女子大学大学院博士課程人間文化研究科比較文化学専攻
1996年09月-1998年6月・イタリア国立フィレンツェ大学文哲学部・留学
1999年04月-2001年03月・お茶の水女子大学文教育学部・教務補佐員
2001年12月・お茶の水女子大学大学院博士課程人間文化研究科・博士号取得(人文科学、博乙第155号)
2002年04月-2005年03月・お茶の水女子大学人間文化研究所・研究員
2002年04月-2006年03月・成城大学短期大学部・非常勤講師
2002年04月-2007年03月・尚美学園大学総合政策学部・非常勤講師
2003年04月-2007年03月・芝浦工業大学工学部・非常勤講師
2004年04月-2012年03月・明治学院大学文学部・非常勤講師
2005年04月-2007年03月・横浜美術短期大学・非常勤講師
2005年04月-2007年03月・成城大学社会イノベーション学部・非常勤講師
2007年04月-2015年03月・尚美学園大学総合政策学部ライフマネジメント学科・准教授
2008年04月-2010年03月・立教大学文学部・非常勤講師および同大学院修士課程文学研究科・非常勤講師
2015年04月-2023年03月・尚美学園大学総合政策学部ライフマネジメント学科・教授
2015年09月-2016年07月・お茶の水女子大学文教育学部・非常勤講師
2016年04月-2017年04月・成城大学文芸学部・非常勤講師
2023年04月- 現在・尚美学園大学総合政策学部総合政策学科・教授

主な実績

論文:
金原由紀子(1998)「プラート大聖堂主要礼拝堂のプログラム――『聖母被昇天と聖帯の授与』を軸とする新解釈――」『美術史』第144号、pp.152-165.
金原由紀子(2001)「プラートのサント・ステファノ大聖堂における聖帯崇拝と14-15世紀の美術」(博士論文)
金原由紀子(2009)「中部イタリアの共和制都市国家における聖遺物収集:ピストイア大聖堂を中心に」『尚美学園大学総合政策研究紀要』第16・17号、pp. 61-75.
金原由紀子(2010)「ビガッロの画家の《聖ゼノビウス祭壇前面飾り》に関する一考察」平成19~21年度科学研究費補助金基盤研究(B)研究報告書『テキストとしてのコレクション:アート・コレクション制度の成立とその読解』、pp. 23-32.
金原由紀子(2013)「ジョヴァンニ・デル・ビオンドの≪玉座の聖ゼノビウス≫をめぐる一考察:共和制フィレンツェの守護者としての聖人像」『尚美学園大学総合政策研究紀要』第22・23号、pp. 91-106.
金原由紀子(2017)「イタリアの教会壁画に見る説話と伝承」『説話・伝承学』第25号、pp. 15-26.
ほか多数

書籍(単著):
金原由紀子(2005)『プラートの美術と聖帯崇拝 ─都市の象徴としての聖遺物─』中央公論美術出版社

書籍(共著):
地中海学会編(2002)『地中海の暦と祭り』刀水書房(「降誕祭」、「復活祭」、「使徒の祭り」を執筆)
高階秀爾監修(2002) 『増補新装カラー版・西洋美術史』美術出版社(用語解説を執筆)
小佐野重利監修(2005)『プラート美術の至宝展』(展覧会カタログ)損保ジャパン東郷青児美術館・岐阜県美術館・ひろしま美術館(「聖帯伝説:解題」と「プラートの聖母マリアの帯の歴史」を執筆)
池上英洋編(2007)『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』東京堂出版(「工房というシステム」を執筆)
遠山公一・金山弘昌編(2012)『美術コレクションを読む』慶応義塾大学出版会(「ビガッロの画家の《聖ゼノビウス祭壇前面飾り》」を執筆)
小佐野重利監修(2013)『トスカーナと近代絵画』(展覧会カタログ)損保ジャパン東郷青児美術館・佐倉市立美術館・群馬県立近代美術館・鳥取県立博物館(「19世紀末から20世紀初頭のトスカーナ絵画」を執筆)
小佐野重利、アレッサンドロ・チェッキ編(2016)『ボッティチェリとその時代』(展覧会カタログ)東京都美術館、朝日新聞社(フィリッポ・リッピの6点の作品解説を執筆)
青野純子ほか編(2019)『移ろう形象と越境する芸術』八坂書房(「フィリッポ・リッピの矩形パーラ型祭壇画の展開」を執筆)
キリスト教文化事典編集委員会(2023)『キリスト教文化事典』丸善出版株式会社(「キリスト教美術のなかのマリア」を執筆)
ほか多数

書籍(共同訳):
小佐野重利・大場秀章日本語版監修(2004)『カザナテンセ図書館蔵本ファクシミリ版 植物誌Ms.459解説』岩波書店
A. ゾルジ著(2004)『ヴェネツィア歴史図鑑:都市・共和国・帝国 697-1797』東洋書林
デ・ヨング著(2005)『オランダ絵画のイコノロジー』NHK放送出版協会
ヴァチカン美術館編(2006)『ヴァチカン・ガイド:美術館と市国』ミュージアム図書
国立西洋美術館編(2008)『ウルビーノのヴィーナス:古代からルネサンス、美の女神の系譜』(展覧会カタログ)国立西洋美術館
小佐野重利、京谷啓徳編(2014)『ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション』(展覧会カタログ)Bunkamuraザ・ミュージアム、TBSテレビ
石鍋真澄監修(2016)『メディチ家の至宝 ルネサンスのジュエリーと名画』(展覧会カタログ)TBSテレビ
駒田亜紀子監修(2024)『国立西洋美術館所蔵 内藤コレクション写本カタログレゾネ』国立西洋美術館/西洋美術振興財団
ほか多数

受賞歴:
2006年6月 第11回地中海学会ヘレンド賞受賞(著書『プラートの美術と聖帯崇拝』、中央公論美術出版、2005年による)

社会貫献活動:
公益財団法人戸部眞紀財団・選考委員(2025年04月-現在)
日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員、卓越研究員候補者選考委員会書面審査員及び国際事業委員会書面審査員・書面評価員(2023年07月-2024年6月)
西洋中世学会・常任委員(2024年06月-現在)
地中海学会・常任委員(2021年06月-現在)
日本学術振興会科学研究費委員会・専門委員(2019年04月-2022年03月)
展覧会「トスカーナと近代絵画」・学術専門委員(2013年02月-2014年05月)

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